久しぶりの遠出でした。好天・温暖・無風という絶好の天候に恵まれました。目的地は賤ヶ岳古戦場です。
賤ヶ岳古戦場
豊臣秀吉が柴田勝家を破って天下統一の主導権を握ることになった戦いです。これも「天下分け目の合戦」になりました。
北陸自動車道,木之本ICから5分程度で賤ヶ岳のふもとに着きます。そこからリフトに乗って山頂手前まで行きます。歩いて登る人もいましたが,急な坂道が続くので覚悟して登らなければなりません。わたしは当然のことながらリフトを選択しました。
片道450円,往復で900円でした。
「歩くと,下りるのにどれぐらい時間がかかるの?」
「山頂から40分から45分と,わたしたちは案内するようにしています」
リフトの乗車サポートをしていた女性に訪ねたら,そんな答えが帰ってきました。少し迷いましたが,帰りは歩くことにして片道切符を買いました。
リフトは山頂よりやや手前で降ります。そこから急な坂道を10分歩いて山頂に到着です。
賤ヶ岳は琵琶湖と余呉湖の間にあります。山頂に出るとどちらの湖もよく見えます。琵琶湖は太陽の方向になるので逆光になってしまい霞んだようにしか見えませんでした。それに比べて反対の方向にある余呉湖はくっきり鮮やかに見えました。
山頂に観光案内のおじさんがいて,賤ヶ岳の戦いの話を聞きました。各武将の陣地を実際の地形を見ながらの解説はいろいろとためになりました。
「山の上に陣地をつくっての攻防は当時としては珍しい戦いだったんですよ」
「陣地をつくったら,山の木を全部切って丸坊主にしてしまうんですよ」
「火をつけられたら全部燃え上がって,山頂の砦は逃げ場がないからね」
なるほどと思うことがいくつもありました。
それにしても急勾配の山ばかりです。こんな急な山道を重い具足をつけて駆け回ったなんてちょっと信じられません。たった10分の山道を登っただけで意気が揚がってしまうわたしとは違う人種のような気がします。
余呉湖
賤ヶ岳を降りたあとはその北東に位置する余呉湖をバイクで一周しました。周回道路は湖面のすぐ近くを走っているので大変気持ちよく走ることができました。
余呉湖を周ったあとは,小谷城戦国歴史資料館,小谷城跡,道の駅「浅井三姉妹の郷」,姉川古戦場,道の駅「伊吹の里」と国道365号線沿いにある史跡をめぐりました。
小谷城
賤ヶ岳・余呉湖のあとに小谷城に行きました。本丸跡は急峻な尾根筋にありますが,舗装された車道が整備されていました。ただし道幅は狭く,急坂や急カーブがあるので大型バイクでは気を使いながらの走行でした。
はじめに歴史資料館に行き,館長さん(?)にいろいろなことを聞きました。
「ここが小谷城のあったところですか?」,
「小谷城というのは,このあたり一帯のことをいうんですよ」
そう言われて,一体の地形図を指し占めながら「ここがお屋敷,ここが番所,ここが本丸・・・」と詳しく説明してくれました。
「本丸跡まではバイクで行けるよ」とはそのときに聞いて初めて知りました。
「でも何もないよ,平地だけ。景色はいいけどね」
そのとおり,西の眼下には琵琶湖が広がり,東は伊吹山が見えました。
ただ,「クマ出没注意!」というのにはビビりました。注意と言われれば注意しますが,対する術は何もありません。
浅井三姉妹
小谷城は信長に滅ぼされた浅井家のお城です。その浅井家に信長の妹お市は嫁ぎました。そしてその娘が三姉妹です。彼女たちはその後の日本の歴史に大きく関わっていきます。今では当主の浅井長政より妻や娘のほうが有名になってしまいました。
NHKの大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』で主人公のお江は三姉妹の末娘です。徳川秀忠の正室であり家光の母親というビッグパーソンになります。長女は秀吉の妻になり嫡子秀頼の母親,こちらもまさるとも劣らずです。
この地方はお市と三姉妹でさまざまな町おこしをしています(主人の浅井長政を差し置いて)。その一環でしょう,道の駅「浅井三姉妹の郷」は小谷城から姉川に向かう途中にできました。そこに4人のビッグウーマンの銅像が建てられています。しかし,彼女たちにまでマスクが被せられていたのにはいい気持ちはしませんでした。
姉川古戦場
賤ヶ岳と関ヶ原を結ぶ国道365号線はこの時代の史跡がたくさんあります。姉川の戦いの地もここにあります。ここはあまり手が入っていませんでした。石碑が建っているだけでその他には何もありません。訪れる人がいないのか,道案内の看板もありませんでした。
伊吹山と悉地院
365号線を南下して関が原に向かうにつれて伊吹山に近づいていきます。道の駅「いぶきの里」によったあと,伊吹山四大護国寺の一つといわれる悉地院というお寺に行きました。山間の小寺に白いヤギがいました。もう一匹黒いのがいたのでいっしょにいた女性に尋ねてみました。
「こっちは,犬ですよね」
「いえ,ヤギです」
思わぬ返答にびっくり,黒いヤギがいるなんてまったく思いの外でした。そのあと少しばかり詳しい説明をしてくれましたが,あまり頭に入りませんでした。黒いヤギというインパクトが強すぎたからです。
「角のないヤギなんですよ」
どちらのヤギもまだ子ヤギで人によく慣れていました。
そして今回のツーリングの終点は関が原,図らずも戦国時代終点の地になりました。ただし関ヶ原見学はパスしました。機会があればじっくり関が原を訪れてみたいと思います。
帰路は関ヶ原IC→名古屋IC。走行距離286.4㎞のツーリングになりました。
ぼる・ドール
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