12/28(月)華厳寺(吉良家菩提寺)

 

三ヶ根山スカイライン

 今まで何回も来たスカイラインです。今日の三河湾は霞がかっていました。対岸に見える渥美半島はおぼろげにしか見えません。

 日差しはあったのであまり寒さを感じずに気持ちよくライディングできました。太陽の力は偉大です。 

 

東幡豆魚港

 気持ちよく晴れています。スッキリとした青空と深緑の海面,その間の漁船の白がひときわ映えます。この漁港の隣にかぼちゃ寺はあります。 

 

ハズ観音(かぼちゃ寺)

 お寺の名前は「妙善寺」,幡豆にあるから「ハズ観音」です。かぼちゃ寺としても有名で,毎年冬至の日に「かぼちゃしるこ」がふるまわれます。

「いろんなところからかぼちゃが送られてくるんだけどね。今年はコロナで中止になっちゃって,しょうがないから切ってみんなに配ったんだよ。その残りだよ」

 本堂前に大きな赤いかぼちゃが供えてありました。

 

片岡山華厳寺

 華蔵寺は吉良家の菩提寺です。愛知県西尾市吉良町にあります。忠臣蔵で有名になった(なってしまった),吉良上野介義央のお墓があります。郊外にひっそりと佇む小さなお寺です。忠臣蔵で敵役になってしまったから仕方がないかもしれません。

 

吉良家の墓所

  敵討ちを果たした大石内蔵助以下四十七士が英雄になったせいで,敵役の吉良上野介義央は天下の大悪人になってしまいました。でも,吉良のお殿様にどんな悪いところがあったのかと冷静に考えてみると,確かな悪行は見つかりません。

 理不尽に逆上したのは浅野内匠頭長矩であり,この事件の犯人は彼です。それ以外に”犯人”はいません。吉良の殿様は「悪人」にされる理由は一つもありません。それなのに,暴力を振るわれた上に,逆恨みされて殺されてしまいました。彼にしてみれば青天の霹靂といってもいいような出来事です。

 悪人はむしろ大石内蔵助のほうです。「悪いのはあいつだ,吉良だ。我が殿は悪くない。悪いのは吉良だ」という手前味噌な歪曲で藩主の不祥事を吉良上野介の責任にすり替えてしまいました。傷害罪を犯したお兄ちゃんが死刑になってしまったので,弟が被害者を殺してその恨みを晴らすようなものです。

 

岡山集落センター駐車場

  華厳寺の門前にある施設,その駐車場の隅に吉良上野介義央の銅像があります。この馬上姿の上野介は,

農耕用駄馬の赤馬を愛馬とし自ら巡視して領民の声を聞きまわったという言い伝えによります。

 銅像の下に刻まれた文章は尾崎士郎によるものです。

 吉良上野が五十二歳になった元禄五年の春飄然として領地へ帰ってきた。着いたのは三月はじめの雨の日の夕方である。

 大気はまだうすら寒かったが,華厳寺には早くも春の気配が様っていた。その夜上野介は,天英和尚の点ずる茶を喫したあとで歌をつくった。

  雨雲は今宵の空にかかれども晴れゆくままに出づる月かげ

 俗念に一つの区切りをつけた彼の心境は歌の中にゆるやかな思いをひそめている。これこそ,いかにも名君の心境であろう。上野介は,長旅の疲れでその夜は,ぐっすりと眠った。

尾崎士郎『吉良の男』より