3/21(土)木曽路十一宿・九蔵峠

駒ケ岳SAで

駒ケ岳サービスエリア
駒ケ岳サービスエリア

 朝の8時半頃,まだかなり冷え込んでいたころの写真です。雪を被った駒ケ岳が青空にくっきり映えます。

 高速で走っている途中から何度も駒ケ岳の雄姿が目に入りました。もっと迫力があり,もっと鮮明な姿だったのですが,残念ながら高速道路上では止めるところがありません。目に焼き付けるだけにしました。

 塩尻までは高速で行きました。6時に出発して着いたのが9時40分でした。ここまではさすがに寒く,とくに駒ケ岳SAまではひたすら我慢の子でした。高速道路では90km/hをやむなくキープです。それ以上出すと寒さに耐えきれないからです。とくに指先がいけません。じんじんしてきて次第に感覚がなくなってきます。それでも100km/hと90km/hでは大違い,安全に走るためにおとなしく走りました。

 

 塩尻からは国道19号線を南下します。ここからは快適なクルージングでした。高速道路と一般道では耐寒事情がまったく違います。それに加えて今日は刻一刻と気温が上昇していました。9時と10時では地獄と天国のように違いました。

 

是より南  木曽路

木曽路(国道19号線)南下開始
木曽路(国道19号線)南下開始

 木曽路十一宿の第一,贄川宿の手前に「是より南 木曽路」の看板がありました。ここから最南の馬籠宿まで古い町並みや関所,代官所跡などの施設を見ながら南下しました。

 

 木曽路の十一宿とは北の方から,贄川宿,奈良井宿,藪原宿,宮ノ越宿,福島宿,上松宿,須原宿,野尻宿,三留野宿,妻籠宿,馬籠宿の宿場を数えます。いま島崎藤村の『夜明け前』を読んでいます。舞台になっている木曽路を一度見ておきたいと思って出かけました。

 『夜明け前』の書き出し「木曾路はすべて山の中である」はとくに有名で,木曽地方には「〇〇はすべて△△である」というフレーズがあちこちにありました。案内してくれた展示館の女性も「木曽谷は山深いところですからすぐ日が暮れてしまうんですよ」と,小説の舞台を思い浮かばせるような物言いでした。

 

贄川宿関所跡             

贄川宿 関所跡
贄川宿 関所跡

 贄川宿にも古い町並みが残っています。しかし,次の奈良井宿と大きく違っているのは観光地化されていないということでしょうか。奈良井宿のようにきれいではありません。まとまってもいません。ただしそこには贄川の人たちの日常があります。

 

奈良井宿

奈良井宿 町並み
奈良井宿 町並み

 古い町並みとしては奈良井宿がいちばんです。今まで見てきた「古い町並み」のどこもここには勝てません。街道を歩いているとまさにタイムスリップしたようで,本物の江戸時代が’そこにあるような気になってきます。これほど整然と保存されている町並みは他に知りません。

 

木曽の大橋

奈良井宿 木曽の大橋
奈良井宿 木曽の大橋

 奈良井川に架かっている「木曽の大橋」も雰囲気のあるいい橋でした。清流と橋と古い街がうまくマッチしていい景色をつくっていました。ただ「大橋」というほどの”大”ではありませんでした。

 

木曽義仲館

宮ノ越宿 義仲館
宮ノ越宿 義仲館

 宮ノ越宿は木曽義仲の旗揚げの地とされているようです。義仲館という資料館がありましたが「休館日」でした。源氏の白旗が待っている奥には義仲と巴御前の像がありました。

 

開田高原

開田高原 白樺林
開田高原 白樺林

 木曽街道にはまだ雪が残っていました。木曽街道は木曽福島から高山に抜ける国道361号線の通称です。木曽福島方面から新地蔵トンネルを抜けると開田高原です。トンネルを抜けた途端に白樺林の根本の雪が目に飛び込んできました。結構なスピードで風を切っていてもまったく寒くはなく,ジャケットのなかでは心地よいぬくもりを感じるぐらいでしたから白い雪景色はまったく不意打ちでした。

 

九蔵峠の御嶽山

木曽街道(国道361号線) 九蔵峠
木曽街道(国道361号線) 九蔵峠

 その先,九蔵峠のビューポイントで見た御嶽山は当然のことながら雪を被っていました。御嶽山には過去何回か訪れましたが,今回の雪がいちばん多かったと思います。写真は逆光になってしまうのでコントラストがいまいちですが,肉眼では青空に雪の白さがよく映えていました。

 

福島宿

左上:義仲公之墓 右上:御料館 左下:関所跡 右下:山村代官所
左上:義仲公之墓 右上:御料館 左下:関所跡 右下:山村代官所

 福島宿では義仲公之墓,御料館,関所跡,山村代官屋敷を見学しました。なかでも一風変わっていたのは御料館です。ここは「旧帝室林野局木曽支局庁舎」という施設らしいのですが,どういうところか知らずに入りました。外観がまさに明治の洋館だったということで妙に関心を持ったからです。案内の女性がずっとついて来てひとつひとつ丁寧に説明してくれました。その説明が丁寧以上だったことも一風変わっていました。

 

 

馬籠峠

馬籠峠頂上
馬籠峠頂上

 ルート上にある馬籠峠は妻籠宿からワインディングロードを駆け上がっていきます。なかなか素敵な道で思ったより長く,走りやすくて楽しい道です。頂上の峠で休憩していたら外国人カップルが2組も歩いて通り過ぎました。馬籠も妻籠も古い日本を味わうのには手軽な観光施設なんでしょう。

 

馬籠宿と落合宿の石畳 

左:馬籠宿  右:落合宿の石畳
左:馬籠宿  右:落合宿の石畳

 妻籠宿と馬籠宿は時間がなかったので歩いて見学できませんでした。 次回もう一度訪れて,島崎藤村『夜明け前』の空間を味わいたいと思っています。やむを得なかったのですが,気持ちとしては「美味しいものをあとにとっておく」といったところです。

 馬籠宿は夕方近かったのですが観光客がたくさんいました。高速の中津川ICに向かう途中で落合の石畳というところを知りました。たまたま知って寄っただけで寂れたところでした。「中山道」の道標に寂しいものがありました。

 

 中津川からは高速で帰ってきました。473.9km,久しぶりのロングツーリングになりました。