信州だったはずが・・・
ツーリングの目的はなんと言っても”走ること”,今回の選択基準は”涼しく走れる国道”でした。
真夏に涼しく走れるところは第一に信州「ビーナスライン」。涼しさもさることながら緑の絨緞と紺碧の空の中を走り抜ける爽快感はたと比べようがありません。当初の目的地は信州でした。それが急遽三重方面に変更。
「長野の午後は雨雲レーダー,真っ赤っか」というのが急変の理由でした。
つまり,はじめから3つのループ橋を目指したわけではありません。チームリーダーの的確なルート選択のお陰であることは言うまでもありませんが,結果的にそういうテーマが出来上がっただけです。
3つのループ橋
伊勢自動車道で勢和多気ICまで移動してそこから国道ツーリングです。「目的地は国道」,これがツーリングの基本,われわれにとって景勝地や有名店は通過点でしかありません。
国道368→166→169→425→42号と変化に富むルートを走りました。ループ橋は以下の3つです。
① 高見峠ループ橋 国道166 三重県
② 伯母谷ループ橋 国道169 奈良県
③ 紀伊長島ループ橋 県道581 三重県
高見峠ループ橋
三重県と奈良県の県境,高見山の山腹を駆け上がる国道166号線,ループ橋はトンネル手前(三重県側)にあります。大きなモニュメントが1基立っています。駐車スペースはありますが,駐車場ではなくて広い道端でしかありません。何もないところに立派なモニュメント,自然の風景に合っているのか合ってないのかいまいち不思議な存在でした。
ちなみに高見山と聞くと丸八真綿の「2倍!,2倍!」を思い出してしまうのはもうわたしだけでしょう。
大滝ダム
「無理,無理,無理です」
ダムの管理棟内に一歩足を踏み入れたらかけられた言葉がこれでした。「です」と丁寧語を使っていながら強烈にインパクトのある言葉でした。「入ってくれるな! これ以上近づくな」という語気を放っていました。われわれは黴菌か病原菌のような扱いをされました。
コロナ対策で閉館中なのは入り口に案内があったのでわかっていました。ダムカードがどこでもらえるか聞きたかっただけです。当然答えは予想されました。
「無理,無理,ダムカードは休止中です」
全国どこに行っても何でもかんでもコロナ対策! こんな山奥で,しかもダムカード配布ごときで警戒する意味がありますか? 某週刊誌での某医師の発言「マスクは予防の効果はありません。たとえて言うなら,「爆撃機が飛び交うなか防空頭巾で警戒するようなものです」
伯母谷ループ橋
トンネルと橋がミックスされた珍しいループ道です。はじめは直進トンネルが続きます。そのあと左にカーブしながらトンネルを出るとそのまま橋になり,橋状上を左カーブしながら再びトンネルに入っていきます。かなり急な上り坂で,ぐんぐん上がっていくのを体感できます。ネットの空撮写真(1枚目の②)を見るとその勾配が空からでもはっきり確認できます。
酷暑ツーリングの心得
酷暑の1日でしたが山間部は走っていれば涼しさを十分味わえることを再確認しました。止まれば暑くて,それは街中とさほど変わりません。しかしいったん走り出せばとまったときに吹き出した汗が恰好な冷却液に変わります。つまり,
1 止まる → 汗をかく。
2 走る → 汗で冷却。
水冷エンジンと同じような仕組みですね。発汗冷却とでも呼べばいいでしょうか。このパターンで快適なクルージングが楽しめました。
ただし,これは街中では通用しません。何より,走り続けられる信号のない道が必要であり,木々に囲まれた爽やかな空気も欠かすことができません。
尾鷲で海鮮丼
昼食は海鮮丼デラックス,ちょっと奮発しました。
「汁物はどうしますか?」
アオサの味噌汁(60円)とアサリの味噌汁(120円)の2択でした。ここで貧乏人根性が出てしまいました。直前の”デラックス”が尾を引いていたかもしれません。
「アオサ」と選択。ところがそのあと続いた3人は,
「アサリ」
「わたしもアサリね」
「わたしもね」
と,3連発。わたしの貧乏人根性が際立ってしまいました。
昼食を終えての再出発。時刻は午後2時半,いちばん暑いときでした。日陰でしばらく休憩し,炎天下突入の鋭気を養ってから出発です。
紀伊長島ループ橋と昇降式可動橋
紀伊長島にはループ橋と昇降式可動橋のふたつがあります。4台のバイクが停まっているのは可動橋「長島江ノ浦橋」の上です。遠景に見える赤い橋がループ橋になります(ループ部分は左のビルに隠れて見えない)。
※ 左上の可動橋が上昇している写真はネットからの拾いです。
可動橋の上での会話
「いつ動くんだろうね」
「決まった時間に動くんだろうか」
「船からなにか合図をして上げてもらうのかもしれないね」
「無線で動くようになっててリモコンを持ってるのかもしれない,船頭さんが」
「いま上げられたら,僕らどうしたらいいんだ」
直後に上がっていた
そのあと,隣のループ橋を回ってもう一度可動橋に戻ってきました。
突然仲間のひとりが声を上げました。
「上がってる,上がってるよ」
いきなりで一瞬意味が分かりませんでした。この一瞬の躊躇を後悔しています。橋の中央部が1メートルほど上がっているのが分かりました。路面が寸断されて,寸断されたところから海面が見えました。
あわててポケットからスマホを取り出してロック解除。しかし橋は下がっている途中でベストショットには間に合いませんでした。かろうじて撮れたのが左上の写真です。
踏切のように柵がおりて赤信号が点灯しています。橋桁は50cmほど浮き上がり,赤い断面が見えています。バイクを降りて視線を送っているのはチームのメンバーです。驚きの表情がその後姿から伝わってくるようです。
「びっくりだね。こんなタイミングになるなんて」
「さっきもうちょっと長く留まっていたら乗っかかったままいけたかもしれない」
と,まあそんなことにはならないでしょうが。
しりとりライディング
帰路は紀勢大内山ICから高速に入って伊勢自動車道,東名阪,伊勢湾岸道と乗り継いで帰ってきました。
高速の間はインターコムを使って4人でしりとりをしながらのライディングでした。単調な高速区間を楽しみながら走行できたのであっという間に御在所SAに着いてしまいました。
キルトヤム
急遽暗雲垂れ込めてきたのは名古屋方面。
「いま,多治見あたりが大雨。その雲が南に降りてくるから名古屋に入ったころ捉まりそう」
ここからはそれぞれの帰宅ルート,御在所で解散です。みんな雨を覚悟してレインウェアを装着しました。
伊勢湾岸道は黒雲の下いまに降るか,もう来るかという綱渡りの走行でした。が,最後まで雨に合わずに走れました。これはカッパを着たからでしょう。わたしたちはこれをキルトヤム現象と呼んでいます。対義語は「ヌグトフル」です。
最後にスポーツジムに寄って,サウナでリフレッシュしたあと帰宅しました。帰宅時刻19:50,走行距離599.6kmのツーリングでした。
ぼる・ドール
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